平成20年と新しい年となりましたが、医療界にはまだ厳しい日々が続きそうです。現在、診療報酬改定の検討が中医協でなされていますが、全体として少しプラス改定となります。しかし、多くの病院の経営状況は苦しいままです。これまで、厚労省を含め国は、医療費は国の財政の負債であるとの観点から、医療費を抑制する政策を行って来ました。しかし、医療とはほんとに国家の負債であるのでしょうか。
 医療費の総額は30兆円を超えていますが、その半分は人件費です。残り半分は医療機器メーカー、製薬会社などに行きます。人件費として支出されると、当然所得税、住民税が課せられ、職員は残りの大部分を生活費などで消費します。医療機器メーカー、製薬会社などでは、法人税を払い、職員に給与を払い、残りの一部は投資にあてていると思います。職員の給与からは所得税、住民税が引かれて、残りの多くは消費にあてられます。このように考えると、医療費の一部は税金として国に戻り、多くは消費に回ると考えられます。また、医療費によって医療機関、医療機器メーカー、製薬会社などに多くの人が雇用されています。この事は、医療への投資は雇用を拡大し、経済活性効果があるのではないでしょうか。事実、European Commissionの2005年8月のレポート(The contribution of health to the economy in the European Union)では、OECD19カ国では医療への投資が経済成長率の16−27%を占めていたと示しています。EU諸国の間では、医療が経済活性化に重要な役割を果たしている事が認識されているのです。
 日本では、国も政治家も一般の国民も、また多くの医療関係者も医療を負債と考えているのではないでしょうか。今、その発想を転換して、EUの国々のように医療のいろいろな分野に積極的に投資することで、日本の経済を活性化し、その力で国民皆保険制度を維持してゆく方向に進むべきだと思います。今、日本全国で医療崩壊が起こりつつありますが、医師不足とともに医療費削減が大きな原因です。経営の効率化も重要ですが、医師を増やし医療費を増やすことが医療の質を向上させ、日本の経済の活性化にもつながると思います。一刻も早い発想の転換を期待します。






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